「アイヌの世界に生きる」茅辺かのう著 ちくま文庫 を読む。

感想はたくさんある。

私はこの本が書かれた二十年後に二風谷をほんのちょっと、よろめきながら自分の足で歩いている。何となくだけれど、気分は近しい

感想は他の人たちが書くだろうから、私は、自殺希少地域と絡めて少し書いてみる。 地域ごとに統計を取ると、自殺の多い地域、少ない地域があるらしい。

私は「アイヌの世界に生きる」を読んで、彼女トキさんやアイヌの人たちは自殺はしないだろうと思う。

まずは孤独ではないだろうということだ。

例えば、彼女は家の様々各部の名称を伝えた。火にゴミを投じてはならないと語った。 これは神様だ。

それぞれに、名前と共に神が宿っている。だから、一人暮らしでも孤独ではないのだ。

そして、自殺希少地域の特色の一つとして、「相手の考えよりも自分の考えを優先する」「ぐいっとお節介である」ということ。

「アイヌのお店」の女主人が茅辺かのうをこの仕事を引き受ける経緯は私の感覚ではなかなかの強引だ。

自殺希少地域は、お節介が持続する。

私などは最初にお節介を仕掛けても、結構ですから、と言われれば、引いてしまう。自殺希少地域の人は、相手の話を聞かない、「いいからいいから」とお節介を続ける。自分の知識の範囲を超えてしまえば、わかる人を捜して引き渡す。その結果をどうなんだと問い合わせる。

つまり、最後まで、なんらかの形で関わる。投げださない、自殺させてくれないわけだ。 この本を読んで、アイヌのコミュニティはまさしくそれだと思った。

この本、「アイヌの世界を生きる」を呼んだ私はどう変わるか。